”造語で織り出す世界観”を「ばいばい、アースⅠ」に学ぶ

「ばいばい、アースⅠ」(角川文庫)の著者は冲方丁先生。私が最も尊敬する小説家で、本作は私が小説家を目指す上での大きな指標でもあります。

冲方先生の代表作といえば、吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞し、直木賞の候補にもなった時代小説「天地明察」。そしてSF小説「マルドゥック・スクランブル」あたりでしょうか。個人的には水戸光圀の生涯を描いた「光圀伝」が好みです。

冲方先生はライトノベル、SF小説、時代小説と幅広いジャンルの小説を執筆され、更には漫画原作やアニメの構成・脚本も手がけるといった驚異の才人ぶりを発揮されております。アニメ「蒼穹のファフナー」「PSYCHO-PASS サイコパス(2期)」の構成や脚本も行っています。

著者紹介はこれくらいにしておきましょう。

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本題に入る前にこのブログのスタンスについて

当ブログではプロの先生方の作品から学んだことを発信していこうと考えております。ばりばり理系だった私ですから、初歩の初歩から小説について勉強していくつもりです。

小説執筆初心者の方々は一緒に学んでいきましょう。先輩方につきましてはアドバイス頂けると嬉しいです。もちろん、小説は好きだけど読むの専門といった方も感想頂けるとありがたいです。すべてのことから学んでいく所存です。

みなさま、ページ下の欄にてお気軽にコメントを残して頂けたらと思います。

さて、今回の作品「ばいばい、アースⅠ」ですが、何と言っても目を引かれるのが独特な造語です。ですので、“世界観における造語”に着目していこうと思います。

と、言いつつもまずは簡単な作品紹介

本作の主人公ラブラック=ベルの目的は、自身の起源〈ルーツ〉を知り、世界をと交わることです。

この世界の住人たちはすべて動物的な特徴を有した“亜人“なのですが、ベルだけは特徴を持たない“人“の少女です(本作に亜人や人といった表現は出てきませんのであくまでイメージとして、です)。”のっぺらぼう“であるベルは自分の生まれ(種族)を知り、世界に自分の所在を見いだしたいのです。

そのためには国を出て、世界を旅する“旅の者〈ノマド〉”になる必要があります。旅の者〈ノマド〉になるためには都市〈パーク〉にて試練を受けねばならない。師匠〈マイスター〉の元を離れ、都市〈パーク〉を訪れたベルは試練となる〈外〉との戦いに身を投じる……。

“造語“なしに「ばいばい、アース」の世界は語れない

作品紹介を読んで頂いただけでもわかると思いますが、本作はふんだんに造語を用いることで世界に深みを持たせております。

造語を使用した小説は数限りなくありますが、本作の造語はひと味違います。造語なのになんとなく意味がわかるのです。そして読者の想像力を刺激し、なによりカッコイイ。私が初めて本作を読んだとき、まず目を惹かれたのが数々の造語でした。作者の頭の中はどうなっているのだろうと思わされるほどの、言語に対する造詣の深さが見て取れたのです。

ほんとうに数限りない造語が盛り込まれている本作ですが、その中からいくつか挙げてみたいと思います。

まずは種族から。

月瞳族〈キャッツアイズ〉

知恵深き月歯族〈ワールドワイズ・マウティー〉

弓瞳族〈シープアイズ〉

水角族〈ミノタウロス〉

足長族〈フロツギー〉

蛍族〈ロイテライテ〉

水族〈マーメイド〉

長耳族〈ラビツテイア(ラビッティア?)〉(“うさぎ“と呼称されることもある) etc…

長耳族については、ルビから拗音(小さい文字)を読み取れないので本来の読み方はわかりませんでした。

種族としての造語は、まず種族の特徴を漢字で表し、そこに英語などを当てているようですね。英語が多いのは読者の耳になじんだものが多いからと思われます。耳にする語感よりむしろ、多少は意味の取れる言語を用いることで、読者の想像力をかき立てているのかもしれません。(余談ですが、私は耳にする響きとしてはドイツ語が好きです。数字だけ並べても0:ヌル、1:アインス、2:ツヴァイ、3:ドライ、4:フィーア、5:フンフ、6:ゼクス……。カッコイイと思いませんか?)

続いて音楽系の言葉を用いた造語です。

剣楽隊〈バンド〉:戦闘時の部隊のこと

剣士〈ソリスト〉

指揮者〈コンダクター〉:戦闘の指揮をとる役職

伴奏者〈ピアニスツス(ピアニスッス?)〉:戦闘の成果を王に報告する役職

補助楽隊〈コーラスバレット〉 etc…

戦闘部隊やその役職などは音楽系の用語が使われています。こういうネーミング方法もあるんですねぇ。

次は読んでそのままの造語。これを造語と呼ぶのかは疑問ではありますが。

円卓〈テーブル〉

椀〈カップ〉

頭巾〈バンダナ〉 etc…

最後に個人的な好きな造語。

決闘許可証〈ドッグタッグ〉

時計石〈オクロック〉

旅の者〈ノマド〉

飢餓同盟〈タルトタタン〉

飲食魔法〈レストラント〉

正義(中)〈トップドッグ〉と悪(外)〈アンダードッグ〉

賢き者〈ザ・オール〉と愚か者〈ザ・ナッシング〉

もう由来を考えるだけで楽しくなってきますよね。挙げたのはほんの一部ですので、ぜひ皆さんも本作を手にとってお気に入りの造語を探して頂けたらと思います。ばいばい、アースの造語集があったらいいのになぁ。

ちなみに主人公ラブラック=ベルの意味は、ラブラックが“珍しい者“、ベルが”小さき者“です。これまた冲方先生の意図を考えたくなります……。

まとめ

小説において世界観が大切なのは言うまでもありません。それがファンタジーやSFであったのならなおさらです。

そして独自の世界を物語るにはやはりネーミングのセンスが重要だと改めてわかりました。印象的な、その世界ならではの造語には、読書を世界観に埋没させるだけの力があると感じました。

残念なことに私はネーミングセンスが壊滅的なのです。これから少しずつでも日本語に限らない語彙力を身につけ、それを上手く使いこなす練習をしていこうと思っております。

そもそも私、ファンタジーものばかり書いているくせに、世界観構築が苦手なんですよね……。物語を考えるときはいつも最初にテーマから考え、それに沿ったプロットを練り、そのプロットに合ったキャラを造り、最後にそのキャラを生かす世界観を考えます。そうするとキャラとプロットを語る上で最低限必要な世界観を構築するだけに終わってしまうのです。

本来の世界は、まず世界があり、そこに人々がいて、人が動くことで物語となるわけですので、私の方法はそれを逆算していることになります。まあ、小説を考える上で現存世界の在り方に沿う必要はないのかもしれませんが、それでも世界観をないがしろにしてはいけませんよね。

数ある私の欠点をひとつ晒したところで今回のお話を終えたいと思います。

学ぶべきことに限りはありませんね。これから大いに学んでいくつもりですので、みなさまにもこれからお付き合い頂けたらと思います。

ありがとうございました。それではまた。

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