Ⅲ.チェインズ・オブ・ボンド

Prologue.ルナ・アイシュバルト

ルナ・アイシュバルトは愛情を享受できる少女だった。

無自覚に不自由なく育てられ、不運な選別から、混沌の星へ行かざるを得なくなったときも、両親が一緒だったから何も恐れはしなかった。

しかし独りでいることを余儀なくされたとき、それ・・が無くても生きられることに気付いた。

やがて、三人目の親ができた。

「生きたければ金を儲けろ、その術を身につけろ」

養父は突き放すように度々そう口にする。
それは養父自身の存在を、少女が孤独に耐えられるまでの繋ぎと見なしているようで、ルナはちょっとだけ気に食わなかった。

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生きるために捨て去ったものを茫漠と振り返ることが増えた。

虚空に帰した倫理。
綺麗事でしかなかった道徳。
合わせ鏡のような幸福。

はたしてその中に、両親の存在が含まれるかが問題だった。

「あんたを愛してるよ、ドルフ」
「あぁ、俺もさルナ」

向かい合った親子の繋がり。その輪郭を撫でるような関係にも、どうやら終わりがあるらしかった。

「だから選ぶんだ、我が娘よ。ルナ・アイシュバルトが進むべき道は、とっくに決まっていたのさ」

捨てたくても捨てられなかった名前、アイシュバルトをあえて口にした養父をルナは見つめる。

そして——。

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