みんなで「三題噺」の企画。
本日は第21回となります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
それではさっそく。
今回のお題は以下の3つ。
(出題には『どこまでも、まよいみち』というサイト様の『三題噺スイッチ改訂版』を使用させていただきました)

今回は「湖」「捨てる」「動物園」となりました。
お題「湖」「捨てる」「動物園」
レーションで味気ない昼食をとっていたときだった。
無線に敵襲の報が入ったため、シスは隊員を集めて備えている。
シス隊は、隊長であるシスを含めて四人だ。
隊長、兼近接戦闘員のシスは、頭がよく回り、ブレードを使用する18歳の青年。
同じく近接戦闘員のカトルは、シスと同い年の見目麗しい女性だが、武器は巨きなソードと、戦闘時のフォルムはどうにもアンバランスだった。
中距離戦闘員のセットは、中距離からの射撃に長けた15歳の少年。
そして長距離戦闘員のデイスは最年少の女の子で、狙撃の名手だ。
「カトル、今回は勝手に動くなよ」
「ハイハイ、分かってるわよ。シスこそ、あんま回りくどい指示出さないでよね」
「何言ってんのさ。カトル姉が先走っちゃうから、オレやデイスが毎度尻ぬぐいさせられてんだからね。ほんと、今回は頼むよー」
「でもセットくん、前の戦いもカトルさんがいなかったら、きっとジリ貧になっていたと思うよ?」
緊張感が微塵も感じられないまま湖に向かう隊員に、シスは内心頭を抱える。
自分を庇う発言をしたデイスの頭をカトルがなで回し、一方的に反論されているセットは唇を尖らせて聞き流している。
「まったく……」
こんなメンバーでもいざ戦闘となれば、それぞれの役割を果たしてくれるので、シスもなかなか強く諌めることができない。半ば現実逃避のような気持ちで、湖の周りに停留しているもう一つの隊の長であるアンに無線を繋いだ。
《アン、シスだ。あと7分ほどで俺たちは戦闘に入る。アン隊は後続に備えていてくれ》
《了解です。こちらはいつでも動けます。シスくん、気をつけてね》
アンは学生の頃からの旧知だが、とても真面目で実力も確かだ。隊員たちも隊長であるアンを慕っていて、連携も惚れ惚れするほどの練度だった。
「俺の隊はどうにも締まらないのにな……」
隊長が項垂れているのにも気付かず、背後ではカトルたちがまだ騒いでいる。
腕時計で確認すると、時間まで3分を切っている。丁度、湖の際まで到着していたので、あとは戦闘に突入するだけだ。
「おまえら、そろそろ集中しろ。じきに来る」
シスが静に言った。
「はーい」
「りょーかい」
「了解です」
三者三様の応えの後、空気がピンと張り詰めた。
【つづく・42分で908文字】
あとがき
今日は途中で区切ったので、また明日書こうと思います。
今回は登場人物を多数出して書いてみようと思ったのですが、書いていて絶望しましたね(笑)
それぞれの個性を出すのはおろか、最低限必須な分かりやすく書くということができませんでした。
即興で書いているために設定ができていないのもありますが、それにしたってヒドい出来です。
視覚的情報がないのは小説の強みでもあり、弱みでもあります。
登場人物が増えるとかなり丁寧に書かないと、読者からすると意味不明になってしまうんですよね・・・。
地の文と会話文のバランスが大事かなーと今回思いました。
これまで書いてきた小説は多くても3人くらい、あるいは大人数でも実際話しているのは2人とかでしたから、今後は大人数の描写も練習していきたいです。
そして世界観や設定は明らかに『ワールドトリガー』という漫画の影響を色濃く受けています。
『ワールドトリガー』は最近になってハマったのですが、チーム戦での戦略が深くて面白いです。
加えてキャラが多いのに、すごく設定を作り込んであって、なおかつそれを生かせているんですよね。
これを小説で書くのは難しいですが、「戦略的なチーム戦」や「多数のキャラを掘り下げた話」といった要素には挑戦してみたいところです。
つづき(2019/05/07)
湖の真ん中辺りで大きな水柱が上がった。
水の壁を突き破って、黒い身体が空中へ飛び出した。
シスたち四人はそれを凝視いている。対戦相手がはたして何なのかを迅速に見極め、正しく応戦するのは基本中の基本だった。
《うわ、龍種だ……。面倒だなー》
無線越しでセットが心底嫌そうに呟いた。
他の三人も今回の相手を同様に視認している。黒い鱗に覆われた龍種。鋭い爪と尻尾、そして大きな翼を持った、いわゆるドラゴンだった。
《デイスはここから狙撃。飛んで逃げられたらアウトだ。仕留められなくて良いから、俺達の活動領域から絶対出させるな》
《了解です》
シスの指示にデイスは律儀に応える。応えながら、すでに狙撃の体勢に移っていた。地面に狙撃銃を立て、抱え込むようにしてスコープをのぞき込む。魔法弾の選定もぬかりなく、速度と貫通力を重視したものを込めていた。
年端もいかない少女が自分の身長より大きな銃を構える姿には、最初はシスも驚いたが、今となっては当たり前の光景になってしまった。これで二十を越す隊の中でも、第三位の狙撃の腕を持っているのだから末恐ろしい。
《俺とカトルで仕掛ける。セットは距離をとって援護だ》
飛行能力のある相手の場合、逃げられないようにするのが最優先される。迅速に動くべく、まずは端的な指示に徹していた。
《分かりやすくていいわね! セット、私とシスに弾当てないでよね》
単純明快な指示を受けたカトルが喜色の声を上げる。
《そう思うんなら、カトル姉もシス兄を見習って援護射撃しやすい動きしてよね》
《善処するわ。——じゃ、シス。いくわよ》
カトルが湖面に飛び出したのを皮切りに、シスも後を追って駆けだした。
【つづく・36分で686文字】
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