三題噺「8日目」のお題は「野菜・殴る・菓子」

みんなで「三題噺」の企画。
本日は第8回となります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【初心者歓迎!】小説を書く練習として「三題噺」を書いてみませんか?

2019.04.13

それではさっそく。
今回のお題は以下の3つ。
(出題には『どこまでも、まよいみち』というサイト様の『三題噺スイッチ改訂版』を使用させていただきました)

「野菜」「殴る」「菓子」となりました!

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お題「野菜」「殴る」「菓子」

眼前に迫った拳大のジャガイモを、首を傾げることで躱す。

すかさずアインを視認すると、すでに次の投擲体勢に入っていた。手の内にあるジャガイモは3つ。

ツヴァイは身構えつつ、反撃の隙を窺っていた。

無駄のない挙動で放たれたジャガイモは、空気摩擦で小さくなりつつもこちらに向かってくる。タチの悪いことにツヴァイの避ける先を見越して3つのジャガイモを配置しているようで、すべて避けられそうにない。

「くそ、これでいけるか?」

2つのジャガイモをやり過ごしたツヴァイが、手に棒状のふ菓子を生成。

顔面に向かってくるジャガイモをそれで見事に防御——できるはずもなく、ふ菓子は真っ二つに折れ、額にジャガイモがヒットして砕け散る。

「いや、何でよりによってふ菓子だよ……」

その衝撃と激痛に思わず仰け反ったツヴァイの正面に、身体を沈ませるようにしてアインが迫っている。

その手に大根が生成され、葉の部分をわしづかみにしたアインは遠心力を加えながらツヴァイに振るう。

ツヴァイが次いで生成したのは最も硬い菓子と評判の煎餅。それを盾代わりに、大根を防いだ。今度は菓子の勝利だ。葉のちぎれた大根が明後日の方向へ飛んでいき、隙をついてアインを蹴り飛ばした。

威力を殺すように後退したアインが今度はカボチャを生成。軽く放り上げたかぼちゃがアインの足下へ落ち、なんとアインがそれを思い切り蹴った。

凄まじい勢いで迫るカボチャは、すでに大砲のそれだ。

思わず先ほどの煎餅でガードしたツヴァイだが、今度こそ煎餅が砕け散り、持っていた手をカボチャが襲った。ボキリ、と嫌な音がして、激痛より先に脂汗が浮かんだ。

「あ、折れた」

アインの気の抜けた声と、次第に感覚に登ってくる激痛にツヴァイはついに切れた。

「てめぇっ、アイン! 菓子 対 野菜なんて野菜のが強いに決まってんだろっ! なんだよっ、菓子って煎餅くらいしか使えねぇじゃねえか! 生クリーム使って目つぶしでもするか!? あぁっ?」

激昂するツヴァイを尻目に、アインは飄々としている。その態度がまたツヴァイの癪に障るのだ。

「クジで決めたことだしね。菓子を引いたツヴァイが悪いよ。それに師匠がいつも言ってるだろ? どんな技も使い手次第だって。菓子をもっと上手く使いなよ」

野菜を丸のままぶん投げたり振り回したりしてるだけのやつには言われたくなかった。

しかし、アインの言葉にふと引っかかるものがあった。

——菓子を上手く使う。

野菜になくて、菓子にあるものはなんだろう。そういう思考が生まれ、ツヴァイの脳内を駆け回った。

「く、ふふ……ははは!」

突如ツヴァイが笑いだした。

アインは怪訝そうな顔でそれを見ている。

「痛みで壊れたか?」

呟いたアインの顔の真横を何かが飛んでいった。アインの頬に一線の傷がつき、血が垂れていた。

「え……?」

「野菜になくて、菓子にはある特性を教えてやるよ、アイン」

ツヴァイの折れていない方の手に、小さな直方体の物体が握られている。それを親指で弾き出す形にしていた。

「角砂糖……!?」

「ご名答! 野菜は野菜でしかないが、菓子は“加工食品”! 極限まで密度を高めた角砂糖を生成してやったぜ!」

ツヴァイが親指を弾いた瞬間、目にも止まらぬ速さで角砂糖がアインを襲った。

反射的にカボチャを生成したアイン。幸運にもそれが角砂糖の射線にあった、のだが……。角砂糖はなんとカボチャを貫通してアインの胸元に直撃。一応勢いは衰えていたのか、角砂糖は粉々になったが尋常な衝撃ではなかった。

あまりの痛みにアインは両膝をついてうずくまる。

痛みに堪えながらなんとか顔を上げると、悪魔さながらの表情をしたツヴァイが次の角砂糖を生成している。

「次はもっと密度を上げてみようか」

「ツヴァイ……、今回は僕の負け……」

「問答無用。お前にも多少の痛みを味わってもらう!」

アインは嫌な汗をかきながら、菓子を上手く使えなどと言った自分を呪った。調子に乗って余計なことを口走るものではないと心底学んだ瞬間だった。

【完・42分で1618文字】

あとがき

ファーストインスピレーションに従った結果、野菜と菓子で殴り合うお話になりました。
お題のまま何のひねりもない設定です。
これぞ三題噺!(多分ちがいます)

食べ物を粗末にしてはいけませんが、書いている分には面白かったです。

どうやったら野菜に菓子が勝てるか考えながら書いていたのですが、ふと思いついたのが『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』という小説のタイトルでした。
読んだことはないのですが、このセンス溢れるタイトルだけは強く印象に残っていたようです。
これを機に読んでみようと思います。

ということで今回は ”砂糖菓子の弾丸が撃ちぬく” お話でした。
実際にそんなことが可能かどうかは不明ですがあしからず。

みなさんもぜひ三題噺に挑戦してみてくださいね!

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