『少女願うに、この世界は壊すべき』のあらすじ&感想をご紹介します

ご観覧ありがとうございます。

葛史エンです。
電撃大賞受賞を狙うプロ志望の小説書きで、執筆と読書に日々勤しんでいます。

今回は小林湖底先生の『少女願うに、この世界は壊すべき~桃源郷崩落~ 』を拝読したので、おすすめポイント含めたあらすじや感想、作家目線での分析を書いていこうと思います!

ちなみに、今作は第26回電撃小説大賞にて《銀賞》を受賞した小説になります。

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『少女願うに、この世界は壊すべき』のあらすじ

少女願うに、この世界は壊すべき ~桃源郷崩落~ (電撃文庫)

簡潔にまとめると以下のような物語です。

原風景的日本に回帰していくファンタジー世界が舞台。
神や妖怪の”因子”を持つ人間が存在するという好奇心そそられる設定です。

妖狐の因子を持つゆえに迫害される少女・熾天寺かがりは「世界をぶっ壊す」と願うも、具体的な行動はできないでいました。

そんなある日、いよいよ死の危険すら感じる暴力に遭遇したかがりは、すんでのところで突如現れた青年に助けられます。
青年の名は神津彩紀。千年前に自らを封印した最強の聖仙とのこと。

そしてなんと、封印を解いたことで契約が成され、かがりは採紀のご主人様になってしまいます。

期せずして”最強”の式神——もとい奴隷を手にしたかがりが願うこととは?

独自の設定が語られるシーンが適度に散りばめられていて、世界観に浸りたいファンタジー好きにはたまらない一冊です。

また、ギャグやラブコメ要素も多く、良い意味でライトノベルしているので、その辺りも楽しみにして下さい!

『少女願うに、この世界は壊すべき』の感想&おすすめポイント

ネタバレなしの感想と、個人的におすすめしたい点を書いていきます。

絶妙なシリアスとギャグの融合

なんといってもこれが特徴だと感じました。

あらすじだけ見ると超シリアスですが、実はギャグやラブコメも満載です。
(ちなみに、出会いのシーンでかがりを助けた際、採紀は全裸でした。笑)

シリアスとギャグがシーン毎で分かれているのでなく、絶妙に混ぜて書かれているのが印象的なんですよね。

もちろんシリアス重視のシーンもありますが、ギャグ成分も多めなので、「シリアス展開は好きだけど終始暗鬱になるのはちょっと……」という人には特におすすめしたい作品です。

超ラブコメしてます

妖狐の因子を持つかがりは、忌み嫌われて過ごしてきた経緯もあって、誰かに認められたり、ちゃんと自分を見てくれる人と出会ったりといった経験がほぼありません。
だから、偏見無く自分を見てくれる(というか獣耳や尻尾が愛らしいとすら思っている)採紀の存在は新鮮です。

強気な性格もあってツンツンとした態度をとってしまうかがりですが、結構序盤から採紀を意識しまくっています。

一方の採紀も外面は伝説の聖仙を装ってはいますが、その内心は下心満載。
こちらもかがりに好意的です。

ツンデレ気味のかがりと、(一応)下心を隠している採紀が揃うと、思わずニヤついてしまうようなラブコメ展開が繰り広げられます。

さらに、かがりの妹である、かなめ(こちらは真人間)もここに絡んでくるのでラブコメ好きの人も楽しめるはずです。

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濃厚な世界観が魅力

  • 「現代風の日本→日本の原風景へ回帰していく」という世界
  • 神や妖怪の因子を持つ人間が存在する世界
  • 上記2つに基づいた独自の力や法則で回る世界

世界観が丁寧に創られているのも魅力の一つです。

SFと取れる要素もあり。
厳しく世知辛い世の中ながら、古の日本を思わせる美しい描写多数。

ファンタジー好きにはたまらない要素が多く見受けられます。

かがりの成長、採紀の過去にも注目!

序盤はかがりの境遇にフォーカスして語られます。
「世界をぶっ壊したい」とまで願ってしまう劣悪な境遇にあるかがりが、果たしてどう成長し、最後にどう行動するのか。

そして千年もの間封印されていた採紀の過去が物語にどう絡んでくるのか。

ぜひ注目して読んでみて下さい!

 

※これ以降はネタバレを含む感想になりますのでご注意下さい。

未読の方はぜひ読んでみて下さいね▼

そして以下の記事にて、僕がおすすめするファンタジー小説も紹介しているので、よろしければそちらもご覧になってみて下さい!

【ラノベ作家厳選】おすすめのファンタジーライトノベル【テーマ別】

2019.12.07

ネタバレ有り『少女願うに、この世界は壊すべき』の感想&分析

この先はネタバレありの感想。
そして作家視点から、勉強を兼ねた分析も書いていきます。

”言霊”の設定にやられた

かがりは奴隷である採紀に、絶対服従の命令を下すことができます。
”言霊”と呼ばれるこの命令は《》で識別されていて、かがりが意図的に発するものです。

《止まれっ!》とか《正直に云え》みたいな感じ。

この設定はずっとギャグテイストで使わていました。

印象的なのは《正直に云え》から、採紀がかがりに発した「彼女が欲しい」。
そして、同様の質問からかがりの妹・かなめに発した「結婚したい」。

いずれも直前で「世界平和」や「宇宙泰平」と言っていた採紀が、一転して下心を露わにされるシーンで思わず笑ってしまいます。

しかし、終盤で採紀が死に瀕したシーンで同様な質問がされたときは違いました。

「俺が望んでいること……それはな、世界平和なんだ」
「《本当のことを云え!》」
「世界平和だよ」
かがりの表情が絶望に染まっていった。

『少女願うに、この世界は壊すべき』小林湖底/電撃文庫(309ページ)

本心を言わなければいけない設定。
それまでは下心ばかりだった採紀だからこそ、ともて格好良く映える感動的なシーンになっていました。

いやー、これは上手いなと思わされましたね・・・。

視点変更が巧み

『少女願うに、この世界は壊すべき』はけっこう視点変更が多いです。

最初はかがりの視点で劣悪な境遇を書いたかと思えば、採紀の視点では重要な設定を提示しています。
果ては敵側の視点も躊躇なく使っています。

特に敵側の視点の使い方が上手く、重要なバトルシーンの直前に登場させて、敵側の情報も読者に与えている感じでした。
加えて、敵側の視点は比較的短めにしてあるのも配慮されているなと勉強になりました。

視点変更は「読者の興味を離さない」ことと「読者を混乱させない」ことが重要であり、それが難しいと思います。

タイミングやシーンの長さを計算したり、シーンの序盤で早々に誰の視点か明かすようにしてあったりと、視点変更を意識させること無く物語を楽しませる作者さまの手腕を感じました!

物語の展開に関して。戦闘シーンを上手く活用

ざっと『少女願うに、この世界は壊すべき』の物語をまとめると以下の感じです。
複数の戦闘シーンに向かっていき、戦闘シーンを経てカタルシスを生んでいる印象でした。

  • 敵、そして村人に抑圧された境遇にあるかがり
  • かがりと採紀が出会って変化の兆しが
  • 直面していた敵を倒す
  • ↑ここまでで直面してた問題はひとまず解決

 

  • 新たな敵の示唆(敵は二人いる)
  • この先重要になる、かなめというキャラを説明
  • かがりやかなめと仲を深めていく
  • かがりは序盤で抱えていた「意思はあっても行動できない」という弱点を完全に克服して、この先で活躍するための準備が整っている
  • 信頼を得始めていたはずの村人がまた掌を返し、ピンチが訪れる
  • ここまでで「かがり、採紀、かなめの関係性」「必要な情報の大半」「敵側の思惑」が明かされ、クライマックスへ向かう

 

  • 第一の敵との戦闘
  • 成長したかがりの真価が試され、かがりは勝ち取る
  • 採紀が現れて第一の敵はあっさり倒してしまう
  • かなめが死の危機に陥ることで読者の心情も最高潮に

 

  • 第二の敵が現れクライマックスへ
  • 「採紀は自分へ祈りを捧げる者を殺せない」という設定を上手く使いピンチを演出
  • かがりとの感動的なシーンを挿入
  • 絶体絶命に思われたが、かがりと協力してついに勝利する

 

  • エピローグでハッピーエンドを演出

要所要所で戦闘シーンを入れて緩急をつけているのが印象的でした。

何よりどの戦闘シーンにも意味があって良いですよね・・・。

抑圧された現状からの解放。
キャラの成長が描かれる。
物語を通して紡がれた絆で勝利。

単にドンパチやって終わりではなく、深みのある物語に仕上がっています。

世界観も濃厚で情報提示が難しいと思うのですが、書くタイミングを測った上で散りばめたり、キャラの口から自然に解説させたり、ギャグシーンの中にも忍ばせたりと、すごく勉強になりました。

『少女願うに、この世界は壊すべき』先がすごく気になる作品です!

キャラ同士のやり取りはライトノベルらしく、その上で魅力的かつ濃厚な世界観。

まだまだ明かされていないことも多いですし、続きが気になりますね・・・!
特に採紀の過去の話は興味深いです。

何より、ひとまずハッピーエンドを迎えた採紀たちに今後どんな未来が待っているのか楽しみです。

以上になります。ここまで読んで下さってありがとうございました。
今後も小説感想記事は書いていきますので、機会があれば、またこのブログを覗いて頂けると光栄です^^

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