言うまでもなく、小説の書き出しは重要です。
読者が続きを読んでくれるかを左右します。
でもこれがいかに悩ましいかを、小説を書く人なら体感していますよね。
そんな中、僕が現在読んでいる小説教本に、参考になりそうな考えが述べられていました。
ずばり『初めの一行を魅力的にする五つの要素』です。
初めの一行を魅力的にする5つの要素
出典は『ストラクチャーから書く小説再入門』。
この書籍含めて、著者であるK.M.ワイランドさんの小説教本は個人的におすすめです。
本書では『初めの一行を魅力的にする五つの要素』が以下のように書かれていました。
「もっと読みたい」と思わせる要因を、五つのパートに分けてみます。
1.疑問を感じさせる。
2.人物を登場させている。
3.舞台設定を伝えている。
4.何かを明確に言い切っている。
5.作品全体のトーンを感じさせる。フィルムアート社『ストラクチャーから書く小説再入門』(著:K.M.ワイランド 訳:シカ・マッケンジー)
なお、本書では5つの項目それぞれを具体例を挙げながら解説しています。
詳細が知りたい人は購入してみてください。読んで損はないと思いますよ。
個人的に最も大切と感じたのは①の要素
『1.疑問を感じさせる。』
これはかなり大切だな、と具体例や解説を読みながら思いました。
読者が何か疑問を抱いてくれれば、それは興味を持ってくれたと断じても過言ではないでしょう。
疑問があれば、答えが欲しくなるのが人間のさがです。
疑問を引っ張る形で読者にページをめくらせる。
その過程で、さらなる作品の魅力を伝えていく。
とにもかくも読者が読み続けてくれなければ何もなりませんし、導入として「疑問を感じさせる」はかなり効果的と言えそうです。
絶対とは言い切れないが②の要素も……
『2.人物を登場させている。』
当たり前のようで、意外と忘れがちな要素です。
結局のところ読者が最も読みたいのは人間関係なので、冒頭から人物を出すのは重要ですね。
もちろん人物を登場させない書き出しにも名文は多くありますし、一概には言えません。
とはいえ、何か狙いや意図がある場合を除けば、人物を登場させておくのが無難かもです。
僕は意識したことありませんでした。⑤の要素
『5.作品全体のトーンを感じさせる。』
なるほどなぁ、と思った5つ目の要素。
無意識にやっていることはあれど、僕はこれを意図して書いたことはありませんでした。
たしかに、シリアスな作品なのにギャグのノリで書きだしてしまっては、読者の期待ベクトルをあらぬ方へ向かわせてしまうかもしれません。
一言で”トーン”と言っても難しいですが……。
キャラ、世界観、テーマなど、あらゆる要素が絡んできそう。あと、文体もけっこう重要になってくるかもですね。
おわりに:自作を鑑みて
ちょっと自作の書き出しをふり返ってみたのですが、僕の場合はテーマに重きを置いている一文が多かったです。
自己満足で書いてしまっているきらいがありますね……。
今後は『1.疑問を感じさせる。』を特に意識していきたいと思います。
というわけで今回は、書き出しの1行が魅力的になる条件に関してお話ししました。
結びの一文と並んで、初めの一文も作家なら誰もが悩むところ。
『ストラクチャーから書く小説再入門』から紹介した5つの要素が、何か参考になれば幸いです。
本日の参考文献:『ストラクチャーから書く小説再入門』