第28回電撃大賞にて完膚なきまでに玉砕したことで、ますます研鑽の必要に駆られています。
やるべきことは山盛りですが、まずは文章の書き方に関して新たな学習法を試してみることにしたので、今回のログでシェアしておこうと思います。
文章の腕を磨くための優れた方法
参考にしたのは最近購入したばかりの『学び方の学び方』。
どんなジャンルでも活用できる学習法を学べる一冊で、かなりおすすめです。
『学び方の学び方』で紹介されていた「フランクリンの手法」を実践してみようと思います。
有力な政治家、ベンジャミン・フランクリンは文章を書く腕を磨くために内在化の手法をとった。これは読者にもマネができる。
この”フランクリンの手法”を使うためには、すばらしいと思う文章を見つけるのがよい。段落をひとつ選んで、その中の個々の文章にある一語か二語を書き留め、それぞれの文章の要点を思い出す手掛かりにしよう。
そして次に、これらのキーワードをヒントにして、その文章を再現できるかどうか確かめよう。もとの文章と、自分が書いた文章とを比較して、どちらがよく書けているか確かめよう。アチーブメント出版『学び方の学び方(著:バーバラ・オークレー、オラフ・シーヴェ 訳:宮本喜一)』155,156ページ
かなり効果的そうじゃないですか?
- 自分が美しいと感じた文章をストックできる。
- いくつかのキーワードを元に思い出す作業があるので、記憶に定着しやすい。
- 自分でも書くので、能動的な学習ができる。
- お手本と比較することで、なぜ自分がその文章を良いと感じたかを言語化できる。さらに自分の文章に足りないものが明確になる。
ふむふむ。
これを習慣にできたら文章の腕を高めていけそうな気がします。
「フランクリンの手法」を小説文章に当てはめてみる
やり方は追々修正していきますが、僕はひとまず以下の感じで実践していこうと思います。
- 普段の読書中、美しいと思った文章を書き写しておく。
(この時点では直感で選んでOK。なぜ美しいとかは考えない) - 後ほど、写した文章からいくつかキーワードを抜き出す。必要なら状況の説明も加える。
(『学び方の学び方』では1語か2語を手掛かりにするとありますが、小説文章の場合は細かなシチュエーションを同じにして書いた方が後から比較しやすそうなので、ヒントは多めに書いておく) - ②を元に自分で再現してみる。
- 原文と自分の文章を比較し、気付いたことをメモしていく。
少し手順が多すぎかもですね……。
僕の場合、面倒だと感じてしまうと習慣化できないので、実践していく中で簡略化していけたらと思います。
実際に試してみました
さて。試しに一つやってみようと思います。
①美しいと思った文章を書き写す
僕が大好きな小説『ばいばい、アース』の序盤から適当に抜き出してみます。
「ま、しゃァないか」
元気良く声に出すや、いきなり身を起こした。ほとんど宙に浮いていた。まるっきり重さを感じさせない、鳥の羽の宙に舞うがごとき身軽さで、とん、と地面に両足を立てる。冲方丁『ばいばい、アース』より
②ヒントとなるキーワードや状況の説明を書く
- 「ま、しゃァないか」
- 声を出して起き上がる
- ”身軽さ”の表現。鳥の羽
- 字面に両足
③ヒントを元に自分で再現する
「ま、しゃァないか」
そう声を発しながら勢いよく起こした身が、鳥の羽のような身軽さで宙に舞った。遅れて重力に誘われ、とんと地面に両足をつく。
④原文と自分の文章を比較する
原文:
「ま、しゃァないか」
元気良く声に出すや、いきなり身を起こした。ほとんど宙に浮いていた。まるっきり重さを感じさせない、鳥の羽の宙に舞うがごとき身軽さで、とん、と地面に両足を立てる。冲方丁『ばいばい、アース』より
再現文章:
「ま、しゃァないか」
そう声を発しながら勢いよく起こした身が、鳥の羽のような身軽さで宙に舞った。遅れて重力に誘われ、とんと地面に両足をつく。
- 「そう」という指示語はなくても通じる。原文のように「元気良く」とした方が様子が伝わりやすいし、後に続く起き上がる描写にも繋がる。
- 再現の「勢いよく」と、原文の「いきなり」ではどう印象が変わるか? 原文の方が「静⇒動」の様子が連想される。
- 原文では「宙に浮く」と「鳥の羽」を別々の文章に入れることで、より強調できている。さらに、「宙⇒字面」という流れを一文に収めることでスムーズに映像が浮かぶ。
さらなる工夫は必要ですが、かなり良さげですね!
多少手間はかかりますが、これはかなり勉強になりそうです。
実践するだけでも効果はありそうですが、内容を復讐できた方がより良いですね。
原文と再現文、そして学びのメモをどうストックしていくかも考えていこうと思います。
文章力や表現力を鍛えたいと感じている方は、ぜひ一度試してみてくださいね!
本日の参考文献▼