ライトノベルを書くためのテーマづくり。その重要性を考える

小説(ライトノベル含む)におけるテーマの重要性については人それぞれ考え方があると思います。

物語はテーマありきと考える人もいるでしょうし、テーマなど二の次で面白ければそれで良いという人もいるでしょう。
とりわけライトノベルにおいてはテーマより娯楽性を重視する傾向があります。

因みに私はテーマは重要と考えるタイプです。そもそも私はテーマから物語を考え始めることが多いので、テーマこそが小説の根底となっております。

私見で恐縮ですが、私はライトノベルにおいても、もっとテーマを大事にすべきと思います。娯楽性こそライトノベルのテーマと言われてしまえばそれまでですが、もしテーマと娯楽性をもう一段高い次元で両立できればもっと面白いことができるのではと思います。

というわけで今回はテーマの重要性について考えていきます。(具体的なテーマの創作法についてはまた後日、記事にする予定です)

参考書は『「感情」から書く脚本術』になります。

参考書:カール・イグレシアス[著]、島内哲朗[訳]2016『「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方』フィルムアート社

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小説におけるテーマ

『「感情」から書く脚本術』(以降”本書”とします)ではテーマの重要性を語るには、現実世界での人生(物語)を考える必要があるとしています。

脚本にこめられたテーマがどれほど重要であるかを理解するには、まず私たちの人生にとって物語がどれほど重要な意味を持つか理解しなければならない。人生は、いつもうまくいくとは限らない。理不尽でカオスなものだ。だから、私たちは人生の意味に構造を与えて、物語として理解する。物語の中に、迷いがちな人生の答えを、そして普遍的な意味を見出すのだ。物語の中に、人生の処し方を、他者との付き合い方を、愛し合い方を、困難を乗り越える方法を探すのだ。物語は人生の分析ではなく、人生を感情的に理解させてくれるもの。それも私たちが物語を必要とする理由の1つだ。

(68ページより)

人は人生を物語として捉え、その中に教訓を見出して学びます。

これを擬似的に表現してくれるのが小説(本書では脚本)です。
もちろん読者は教訓を求めて小説を読むわけではありません。ほとんどの読者が物語を楽しむために読書します。

しかし読者を楽しませるという小説の価値は、大前提であるべきです。
物語を楽しむという読者の欲求を満たした上で、加えてその心に何かを残すことが、さらに上位の小説の価値ではないでしょうか?

私たちは読者の心に、人生の指標にもなり得るものを残す必要があります。

そのためにはやはりテーマが必要不可欠です。

本書の言葉を借りるのであれば、テーマは伝えたいメッセージであり、道徳的真実であり、物語の存在価値そのものです。
テーマのしっかりした作品は必ずその深みを増すはずです。

夢中になって読み終えた読者の心に、面白かったという感想以外の何かが残ったのであれば、それは作家冥利につきるのではないでしょうか?

物語はテーマのための道具にすぎない

あなたが書く脚本の中にあるほとんどの場面は、そして登場人物は、会話は、そして映像は、テーマを反映するべきなのだ。あなたが書く物語というものは、単にそのテーマを見せるために必要な環境を創造するための道具にすぎないのだ。

(69ページより)

本書からの引用です。

少々過激な見解であり、反対意見の方も多くいらっしゃると思います。

しかし私は概ね賛成ですし、これが物語るということのひとつの真実ではないかと思います。
現実の世界では様々な出来事が偶発するのが常ですが、小説などの物語はそうではありません。作者の意図することがあって、それに倣い、極めて計算的に作られるものです。

意図がある以上、やはりその土台や根本となるものは必要であり、それこそテーマなのだと思います。
小説を構築するあらゆるもの(面白さを追求することも含めて)を考える際には、その根底にテーマがあることを常に意識すべきなのです。

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とはいえテーマを全面に押し出してはならない

お話してきたとおり、小説においてテーマは重要です。
しかし間違ってもテーマをあからさまに表現してはいけません。(登場人物にテーマの内容を語らせるなど)

先ほども述べましたが、読者はあくまで物語を楽しむことを目的に小説を読みます。
決して説教を聞きたいわけではないのです。

ですから私たちは、読者が物語を楽しむ過程の中に、一見それと気づかれぬようにテーマを織り交ぜていく必要があります。

テーマは物語の背後で反響するべきで、最初から最後まで見えてはいけない。その最高の方法は、感情を通してテーマを伝えることだ。人は説教されても効率よく学ばない。感情的に巻き込まれたときに学ぶのだ。
〈略〉
アリストテレスは、すべての芸術には2つの目的があると説いた。喜ばせることと、教えることだ。脚本家は、物語で喜ばせ、テーマで教えるのだ。

(71ページより)

本書からの引用です。(色つき文字は私が重要と思った箇所です)

物語で喜ばせ、テーマで教える。この一文がすべてです。
こういう作品を目指していれば、おのずと作家としての自分を高めていけることと思います。

おわりに

というわけで今回はテーマの重要性について考えてきました。

作家それぞれ考え方があるとは思いますが、今までテーマを深く考えてこなかった方が、もう少しテーマも意識してみようかな? と思って下さったのであれば嬉しいです。

私は電撃作家志望ですので、ライトノベルを書きます。
そんなにテーマを大事にしたいのならライトノベルにこだわらなくてもいいのでは? と感じる方もいると思いますが、私は時代の流れの中で生まれたライトノベルに限りない可能性を感じているのです。
娯楽性、エンターテイメント性を重視したライトノベルが好まれる現代の日本というのは、やはり平和な世の中で、なにより人々の心が豊かである証拠だと思います。
そういった人々が、まず第一に楽しめ、そしてほんの少しでも教訓を得られる作品が私の理想です。

ですので私は今後もテーマを追求し、それを、楽しむための媒体であるライトノベルと掛け合わせるための試行錯誤を続けていきたいと思う次第です。

みなさんもぜひそれぞれの理想を追い続けて頂けたらと思います。

それでは今回もここまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は具体的なテーマの創作について学んでいこうと思っておりますので、またお付き合い頂けたら嬉しいです。ではまた。

(追記)小説のテーマづくりに関して記事にしてみました!

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