みなさんは小説を書く際に何処から手をつけますか?
テーマ、世界観、キャラクター、ストーリー、その他様々な設定や文体。
小説を書くにあたって考えることは山のようにありますよね。
それらを考えることは、苦しくも楽しい作業です。
みなさんも書きたいこと、伝えたいことがあるから小説を書くのだと思います。
しかし思いつくままに行き当たりばったりで書いていては、良い作品を生み出すことはできません。
結論から申し上げます。
小説を書き出す前にはプレミスを準備しておきましょう。
「プレミス」。これが本記事のテーマです。
参考とさせていただくのは『ストーリーの解剖学』です。
それではさっそく始めていきましょう!
小説を書く準備段階。「プレミス」とは?
プレミスとは”premise”すなわち「前提」を意味します。
小説におけるプレミスの説明を『ストーリーの解剖学』(以降”本書”とします)から引用します。
プレミスとは、ストーリーを一文にまとめて書き表したもののことだ。それはキャラクターとプロットの最もシンプルなコンビネーションであり、そこには、行動をスタートさせる複数の出来事、メイン・キャラクターとストーリーの結末について何らかの概念が盛り込まれているのが典型的だ。
(32ページより)
本書ではいくつも例が挙げられておりますので、その中から『ゴッドファーザー』と『スター・ウォーズ』のプレミスを見てみます。
加えて、僭越ながら私が過去に書いた『羽根のない人』という小説のプレミスも考えてみようと思います。
『ゴッドファーザー』のプレミス
”マフィア・ファミリーの末っ子の息子が、彼の父親を撃った男たちに復讐して新たなゴッドファーザーとなる。”
どういった境遇の人物が、どういった動機で行動し、結果どうなるか。という形のプレミスですね。
人物の動きと変化に重きを置いたプレミスと言えます。
『スター・ウォーズ』のプレミス
”プリンセスが死の危機にさらされたとき、ある若者が戦う者としての技術を駆使しながら彼女を救い、銀河帝国の邪悪な力を打ち倒す。”
こちらは世界観に重きをおいたプレミスのようです。
「プリンセス」「戦う者としての技術」「銀河帝国」「邪悪な力」といった、独自の世界の単語が並んでいます。
『羽根のない人』のプレミス(逆算での後付け)
”正義と悪とが明確に区別された生き物の住む世界で、悪に分類される人間と出会った少年が、彼を殺すべきか否かに苦悩しながらも生かすことを選ぶ。”
うーん、自分で考えてみるとなかなか難しいですね。
この作品は”正義と悪”というテーマから考え、そこに”空に住む人類”という世界観を当てはめていったのですが……。
やはり書きたいことを詰め込んで、それを御しきれないまま書いてしまった感が強いですね。
プレミスを考えるとそれがありありと見えました。
小説をかく準備として「プレミス」が大切な理由は3つ
- (ハリウッド映画では)ハイ・コンセプトなプレミスが求められるから。つまり観客(読者)がプレミスを目にしたとき、内容が明確であり、覚えやすいプレミスを創らなければならない。
- プレミスはインスピレーションそのものでもあるから、執筆中常に意識するものとして必要となる。
- プレミスは、執筆中に下すあらゆる判断のベースとなるから。
1はハリウッド映画に求められるものなので一概には小説に当てはめられませんが、小説においても必要なことではないでしょうか?
2と3は極めて重要だと思います。
全ての基礎となる前提を予め明確にしておくことで、キャラやプロットを考える際にもブレのない作品を書くことができます。
『羽根のない人』も、もっと時間をかけてプレミスを考えていれば、もう少し良い作品にできたのではと今は思います。
小説を書く準備「プレミス」には時間をかけよう!
先ほど述べたようにプレミスは全ての判断基準となります。
これが曖昧だと全てが上手くいきません。
ですから、プレミスの創作にはとにかく時間をかけるべきです。
本書では数日では足りない。数週間は必要とまで言っています。
おわりに
私はちょっと良いアイデアが浮かぶと書きたくなってしまって、見切り発車してしまうことが多いのですが、そういった作品はやはり統一性がなくなったり矛盾が出てきたりするものです。
本書に述べられているプレミスに数週間かけるというのは、私にはとても長く感じます。
しかしそれくらい大事ということですよね。
今回はプレミスについてお話しましたが、次回は具体的なプレミスの創作について勉強していこうと思っております。
その際はまたお付き合い下さると嬉しいです。
それではここまで読んでいただきありがとうございました!