「読む」ことの意味を理解した上での読書法【2通り】

みなさんは普段何気なく、様々な文章を目にしていると思いますが、はたして「読む」とはどういうことなのかと考えたことはないでしょうか?

正直言うと、僕はそんなこと考えたことがありませんでした。

日本では義務教育で幼い頃から読み書きの教育を受けます。ですので、文字を読めるのは当たり前。呼吸するのと同じくらい自然なことです。
自然体なことを意識し、自覚することはなかなか難しいことで、その例に漏れず、私もこれまで当然のように「読む」ことを無意識で続けてきました。

しかし最近になって速読や読書術というものに興味を持ち、改めて「読む」ことを意識して考えるようになりました。

今回は「読む」ことに関して、とりわけ本を読む「読書」に関して学んでいこうと思います。
先日学んだ『読書の”目的”』の続きとなります。

参考文献は引き続き『知的トレーニングの技術』です。(この本は本当にタメになるので、今後も何度か参考文献として学んでいくことになると思います。)

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「読む」ことの意味は?(読書の前提として)

読むことはテクストを変形することだ。

(161ページより)

『知的トレーニングの技術』(以降”本書”とします)ではこのように述べられています。

どういうことかというと、僕たちは本を読むとき、単なる文字の羅列として内容を覚えているわけではなく、僕たちの主観を混ぜ合わせながら内容を理解しているのです。

本書ではこのことを「アタマのなかにもう一冊の本ができる」と表現しています。
つまり、オリジナルとなる本(読んでいる本)とは別に、読み込んだ内容に主観を加えた自分だけの本がアタマの中につくられるのです。

意味を了解する——すなわち、「読む」とは、本という客観(活字)とぼくらの主観(言葉)との合成物をつくることにほかならない。

(161ページより)

僕はこの考えに触れて、大いに納得させられました。

みなさんは同じ本でも読む時期(年齢)によって、抱いた感想がまったく違ったものになったという経験はないでしょうか?
僕はこういった体験をよくします。

これは、本に向かい合う私たちの主観が変わったからなのだと腑に落ちた思いがします。
言われてみれば当たり前のことのように思えますが、これは重要なことです。
僕たちは日々成長しています。ですから、たとえ昔は何も感じなかった本でも、今読み直してみると新たな気づきが得られるかもしれませんね。

「アタマのなかの本」をもとに考える2つの読書法

先ほどご説明した「アタマのなかの本」。これをもとに、本書では2つの読書法について述べています。

2つの読書法とは通読ひろい読みです。

説明不要かもしれませんが一応補足すると、通読は最初から最後まで全て読むことで、ひろい読みは必要と思う箇所を絞りながら飛び飛びに読んでいくことです。

本書によると、この2つの読書法によってつくられる「アタマのなかの本」は、

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  • ひろい読み→”抄本(しょうほん)”
  • 通読→”丸ごとの写本”

となるそうです。

それぞれのメリット・デメリットをまとめます。

【読書法①】ひろい読み

まず「ひろい読み」の方から見てみましょう。

メリットとしてまっさきに思い浮かぶのは時間の短縮・有効活用です。
1冊すべて読み切るとなるとそれなりに時間がかかってしまうものですが、「ひろい読み」では必要な箇所しか読まないため時間を無駄にせずに済みます。
娯楽的な読み物であったり、調べ物が目的での読書であれば「ひろい読み」が効果的と言えます。

しかし、「ひろい読み」の最たるメリットは別にあります。

それは「ひろい読み」でアタマのなかにつくられる”抄本”はカード方式に似ていることです。

「ひろい読み」で取り込んだ知識は、それぞれが独立したカードと言えます。ですので、順序や関連性に固執せず、カードを並び替えるようにして、アタマの中で知識を活用することができます

すると、思いがけない発想が生まれたりします
また、順序や関連性に縛られないということは、読書に対する姿勢そのものを柔らかくしてくれ、もっと気楽に読書できると知ることができるのです。

一方で「ひろい読み」にもデメリットがあります。

それは、アタマの中のカードを整理する技術が必要なこと。そして、文脈を意識しないため、読んだ本の印象が記憶に残りづらいことです。

「ひろい読み」は一歩間違うと、アタマの中に大量のカードを散乱させるだけの結果に終わりかねないため注意が必要です。

【読書法②】通読

続いて「通読」について見ていきます。

先ほど述べたように「通読」するとアタマの中に”丸ごとの写本”が出来上がります。
ですので、本全体の文脈や関連性を意識して読むことができる点がメリットと言えます。

本書で述べられている「通読」のコツは、

なるたけ中断せず、本の流れに、しなやかに身をまかせる、ということが通読の効用を得るためのなによりの秘訣なのだ。

(163ページより)

とのことです。

ただ「ひろい読み」とは違い、「通読」は時間がかかってしまうという欠点があります。
ですので、多くの本を読もうと考えた場合、すべて「通読」するのでは限界があります。多読を試みるのであれば、「通読」すべき本とそうでない本とを分けると良いでしょう。

おわりに

ということで今回は「”読む”こととは”アタマのなかにもう一冊の本をつくること”」ということと、「読書法には”通読”と”ひろい読み”の2つがある」というお話でした。

僕は読書が好きなので、どうしても通読にこだわりたいという思いがありました。
しかし通読では多くの本が読めないというジレンマに陥ります。

やはり現実的に考えると、ひろい読み等で通読すべき本を見分けて、その価値ある本だけを通読するという方法がよろしいのではないでしょうか。

僕自身まだ読書スタイルを確立できてはいませんが、いろいろ試行錯誤していきたいと思います。

それではここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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