【好評判】『錆喰いビスコ2巻』のあらすじと感想。文体すら世界の一部と化した物語です!

『錆喰いビスコ』は第24回電撃小説大賞《銀賞》受賞作。
〈錆び風〉に廃れた日本が舞台となる本作は、とにかく世界観が独特です。
戦闘シーンでばぐんばぐん巨大キノコが生える作品が過去あったでしょうか?
(「ばぐん」っていうのは作中でキノコが一瞬にして生える描写なのですが、個性的ででいいですよね)

1巻の感想は過去に書いていますので、よろしければそちらも併せてご覧いただけると嬉しいです。

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さて、今回読んだのは受賞作『錆喰いビスコ』の続編となる2巻です。
1巻が良い意味でぶっとびすぎの作品で、ネット上でも高評価のようでしたので、2巻で失速しないかと思ったりもしましたが……。
申し訳ありません。杞憂でしたね。

1巻に引き続きとにかく”熱い物語” でした。

今回は『錆喰いビスコ2巻』のあらすじを注目ポイントと共にご紹介。
さらに小説家志望である僕なりの感想を述べていこうと思います。

『錆喰いビスコ2巻』のあらすじ


〈キノコ守り〉のコンビ、ビスコとミロが今回訪れたのは”島根”
ちなみに旅の目的は、ビスコの〈錆喰い〉による特殊体質を治すためです。

作中の島根は〈真錆天言宗〉による”大宗教国家”と化していまして、この宗教は〈出雲六塔〉という6つの塔から成っています。
〈錆塔〉を総本山とし、さらに〈火塔〉〈土塔〉〈金塔〉〈水塔〉〈木塔〉の5つの塔があるのですが、この5つの塔には〈僧正〉と呼ばれる代表がそれぞれ君臨。

ビスコとミロはこの〈僧正〉たちを相手取っていくことになります。
〈僧正〉は皆個性豊か。「お金が全て」だったり、「色欲に溺れて」いたり。かと思えば「知識欲に飢えた」者もいます。
際限なく”欲”をふくらませた敵役たちは魅力的です。

そんな島根への道中、ビスコとミロは瀕死の老人を見つけます。
もう命は助からないと判断したビスコですが、老人を見捨てたりはしません。

「そうか。なら、それはそれでいいさ。少なくとも、死ぬ前に拾えてよかった」
「えっ、でも……もう、この人は、」
「くたばるのは仕方ねぇ。誰でも死ぬようにできてんだからな。ただ、死に目に会いたい奴がいるだろうって話だ。そのジジイにも、子供や孫の一人ぐらい、いるだろう」
「それは……うん、そうかもしれないね……。でも、どうやって探そう? もう、ほとんど時間がない。当てずっぽうじゃ、間に合わないよ」

(47ページより)

廃れきった『錆喰いビスコ』の世界観でこそ、この人情にはじんときます。さらっと言ってのけるビスコと、受け入れつつすぐさま理知的に考えるミロの良い関係も窺えますね。

しかしこれが仇となります。
完全に油断しきっていたビスコは、情けをかけたはずの老人から〈胃〉を奪われてしまいます……!

老人の正体は〈出雲六塔〉をかつておさめていた〈不死僧正〉だったのです。
〈錆喰い〉による特殊体質の〈ビスコの胃〉は、老人に力を与えてしまいます。

力を得た老人・ケルシンハが狙うは〈出雲六塔〉への返り咲き
そのために、僧正たちの持つ〈経典〉と呼ばれる5つの臓器(!?)を狙います。

一方、胃を奪われたビスコは余命5日の緊急事態

すぐさま〈出雲六塔〉へ乗り込んだビスコとミロ。
そこで出会ったのは、義眼の美少女・アムリィ。
彼女の助けを得たビスコたちは……

果たしてビスコは助かることができるのか?
そしてビスコとミロによって”大宗教国家” はどう変容するのか?

廃れた世界でこそ描かれる人情と絆!

どのシーンを拾ってもとにかく熱い!
なのに胃もたれしない怒濤の展開!

作り込まれた世界観での、まさに「冒険譚」です。
ぜひぜひご一読ください。

『錆喰いビスコ2巻』の注目ポイント

ビスコとミロの絶対的な信頼関係。ところが……

1巻で出会い、大冒険を経て晴れて〈キノコ守り〉の相棒となったビスコとミロ。

”〈キノコ守り〉の相棒はひとりだけ” に裏打ちされた唯一にして無二な感じが全編を通してひしひしと伝わってきます。
この二人のやりとりは見ていてほんとうに微笑ましく、羨ましくすら感じられます。

ところが本作ではビスコとミロの見解に相違が生じます。
その原因がお互いを思いやりすぎるため、というのがまた良いです。

絶対的な信頼。だからこそ許容できないこともある。
そんな関係にも注目して読んでみてください。

女性陣も魅力的!

本作はビスコとミロの”相棒愛” が魅力的で、良い意味でラノベ特有の”萌え”が少なめです。

しかし、登場する女性陣は誰もが魅力的です。

新たに登場する、仙医の少女・アムリィは錆を吸い取る能力を有しています。
カラーページのキャラ紹介では「義眼の美少女」と書かれています。”義眼の”ってあたりが世界観に合っていますね。

アムリィは登場時、つかみ所のない、というか得体の知れない少女という感じなのですが、物語が進むにつれてどんどん魅力的になっていきます。
ビスコやミロへ抱く心情にもご注目ください。

さらに、1巻で大活躍だったあの人たちも登場します。
相変わらず1人のキャラとして確立しているので、彼女たちが動くと物語はより面白くなりますね。

独特の世界観。それを描写しきる瘤久保慎司先生の”感性と技量”。

記事冒頭でもお話ししましたが、『錆喰いビスコ』では、「ばぐん!」や「ばっ、ごん!」といった描写が多々登場するんです。
これって一歩間違えばチープな表現になってしまうと思います。
しかし、作者の瘤久保先生にかかればそんな心配は無用です。独自の感性を世界観に落とし込む技量が抜群で、文体すら世界の一部と言える出来となっています。

戦闘シーンは映像的かつ疾走感満載。
細かな世界設定と、それを自然に解説する能力。
会話文で魅せるシーンも良い。

ネットの評判を見ていると、「ほんとに新人賞作品?」という声が上がっています。
ほんとにその通りだと思います。
僕も電撃大賞を狙っていますが、道のりは長そうと思わされるばかりです。

『錆喰いビスコ2巻』の感想

上記の注目ポイントでも話してきたように、レベルの高い作品で面白いと心底思いました。
僕の場合、感性に合わない作品は流し読み気味にするんですが、『錆喰いビスコ』はがっつり読んでしまいます。

廃れた世界での人情や、熱い展開と戦闘シーンが魅力的だな、と何度も思いました。
世界観とキャラが作り込まれているからこその魅力ですよね。

ビスコとミロのコンビも最高ですし、アムリィが良いキャラですね。
ヒロイン的な立ち位置としての魅力だけでなく、物語の進行にがっつり絡んで、だんだんと心情が露わになっていく過程が素晴らしいです。

全編を通して盛り上がりを見せるのに、それでも飽きさせないのは1巻に引き続き圧巻です。
と、前提した上で個人的に思うのは、1巻も2巻もクライマックスとなる高い山が2つ存在するなと思いました。

1巻の感想記事でも書いたのですが、僕的には「クライマックスか!」と読んでいた後に、もう一山ある感じがします。
気持ちを入れ直す必要があったな、という感想です。
2度の満足感を得られたという意味ではお得だったとも言えますね。

ネット上の感想を読んでいると、軒並み高評価なのでこういう構成が受けるんでしょうか?
自分にないものを学べたという意味でも、心底楽しめた作品でした。

おわりに

ということで今回は『錆喰いビスコ2巻』のあらすじや感想でした。

個人的にはこの高いレベルで〈銀賞〉なんだ、とつくづく思います。
電撃大賞はやはり難関ですね。

『錆喰いビスコ』。自信をもっておすすめできる作品です。
未読の方はぜひ1巻から読んでみてください。

それではここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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