“電撃大賞の傾向”を受賞者のアドバイスから学んでみる

数あるライトノベル新人賞の中でも、『電撃小説大賞』は最も難関と言って良いでしょう。

例年多くの応募があり、直近の第24回では5088作品の応募があったそうです。
そして、その中から受賞できるのはわずか数作品。第24回の受賞数は7作品ですので、単純計算で受賞率はなんと0.14%しかありません。

私も電撃作家を目指す一人ですが、この数字を前にするとやはり尻込みしてしまいます。

当然作品の質などが関与してきますから、このような計算に本来意味はないのかもしれません。
それでも、少しでも受賞の可能性を上げられたらと考えるのが人情ですし、そういう思考も大切だと私自身は思っております。

受賞する確率を上げるにはどうしたら良いか?
それはやはり実際に受賞した先輩方に学ぶのが一番でしょう。

というわけで今回は、かつて電撃大賞を受賞した皆様からのアドバイスから、実際に受賞した方はどういった考えで新人賞に応募していたのかを学んでていこうと思います。

参考にさせていただくのは、『電撃大賞』のホームページ内にあるコンテンツのひとつ『出身作家インタビュー』です。
このページでは歴代受賞者の方々のインタビューが載せされているのですが、これがとても参考になるのです。(こういうコンテンツを充実させていく姿勢が、電撃文庫が人気を継続している要因のひとつだと思います。)

現在(2018年5月)のインタビュー数は59名分です。
このインタビューは「最後に、これから電撃小説大賞に応募する方々へひと言アドバイスを!」という質問で締めくくられておりますので、この質問に対する先輩方の回答を見ていくことにしましょう。

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電撃大賞受賞者が口をそろえて言う2つの大切なこと

さっそく59名分の回答を拝見してみました。

こうして見るとやはりそれぞれ個性があって面白いですね。
淡々と答えている 方から、熱く語って下さっている方まで様々です。

応募者へのアドバイスとして、表現は違えど多くの方が共通して言っていることが2つありました。

その2つとは、

  1. 好きな事を追求して書きましょう。
  2. とにかく書き続けましょう。諦めてはいけません。

ということです。

決して目新しいアドバイスではありません。しかし、これがいかに難しいか、作家志望のみなさまには分かっていただけるのではと思います。

実際に受賞者たちの言葉を見ていきましょう。

好きな事を追求しよう。電撃大賞は”流行”では取れない

「好きなこと」を書こう。
こういう発想(発言)が出るということは、裏を返せばそこにジレンマがあるということです。

プロになれば、書いた作品は売れなければなりません。
好きな事を書いて、それが売れれば最高なのですが、現実は上手くいかないのでしょう。
「好きな事」を書くか、あるいは「売れる事」を書くかというジレンマは、すでにプロである先輩方は身に染みているのだと思います。

それでもなお先輩方は、私たちプロ志望者に向けて「好きな事」を書けと言います。(私の見た限り、59人の中で「売れる事」を狙えと明言している方は1人もいませんでした。)

先輩方はただ綺麗事を口にしているだけなのでしょうか?
いえ、決してそうではないと思います。

先輩方の言葉からその真意を、私なりに考えていこうと思います。
次に挙げるのは、私が特に印象に残った方のアドバイスです。(お名前の横に載せてあるのは受賞作のタイトルです)

電撃文庫・メディアワークス文庫編集部は、「流行を作る」最先端のところです。すでに流行っているものを追っているだけの作品に、賞を与えることはないと思ってください。

浅葉なつ先生『空をサカナが泳ぐ頃』

電撃文庫からのデビューを志している皆さんには、売れ線に沿うのでも乗るのでもなく、売れ線を作り出せる作家になってほしいと願います。

志村一矢先生『月と貴女に花束を』

応募の段階では市場の流行とかあんまり気にせず、とにかく自分自身の持つ「好き」を全力で込めた原稿を送ってみればいいんじゃないでしょうか。たぶん編集部は「これから流行を作れる」ようなものをこそ待っているはずです。

水瀬葉月先生『結界師のフーガ』

先輩方が「好きな事」を書こうとアドバイスして下さる真意のひとつは、『電撃大賞』の特性にあるようです。

個人的な印象になりますが、数あるライトノベル新人賞の中にあっても、『電撃大賞』は目を引いて懐の深い賞に思えます。
各新人賞には、流行を追っていたり、キャラ重視であったりといったそれぞれのカラーがある程度見えるものです。
ところが『電撃大賞』はイマイチ掴み所がありません。言ってしまえば面白ければ何でもありといったふうに見えます。

私も全ての受賞作を読んだわけではありませんが、直近の大賞受賞作品を見てみると、『タタの魔法使い』は文体に特徴のある作品ですし、『86ーエイティシックスー』は良い意味でライトノベルらしくない作品(ライトノベル特有の”軽さ”が希薄)です。『ただ、それだけでよかったんです』や『ひとつ海のパラスアテナ』も従来のライトノベルに比べ、テーマ性に富んだ作品に思えます。

”流行”は文字通り流れ移ろうものです。面白いの定義は多様に過ぎます。こういった考えが『電撃大賞』の根底にあるのでしょう。

つまり『電撃大賞』で重視されるのは、上記の御三方の言っているようにこれからの流行を創れる作家(作品)かどうかということなのではないでしょうか?

もちろん流行を創るには現状の市場等の把握も必要だとは思います。

しかし私たち素人に集められる情報やノウハウなどたかが知れています。となれば、私たちが流行を創る一番の近道は、やはり熱量を込められること、すなわち「好きな事」を書くことなのだと思います。

打ち込めば打ち込むほど、それだけ深く掘り下げた作品ができます。
それが魅力的な作品を生むのに繋がり、それこそ『電撃大賞』の求めていることなのかも知れません。

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とにかく書き続けよう。『電撃大賞』には”運の要素”も存在する。

冒頭でお話したように、電撃小説大賞には5000を超える応募が寄せられます。

その中から受賞する作品はやはりと言うべきか、毎年ハイレベルなものばかりです。
しかし質が高く面白い作品を応募すれば確実に受賞できるかというと、決してそうではありません。

何故なら「面白い」の定義は様々ですし、読み手(審査員や編集者、下読みの方々)によっても評価が変わってきます。
選考に関わってくる方々は、もちろん皆さんライトノベルに明るいことは疑いようがありません。
とはいえ人が評価する以上、いかに公平を意識したとしても好みは関与されるでしょうし、そもそも小説には色々な要素がありますから、いくつか並べたとき、一概に比較できるものではありません。

というわけで、私たち応募者にできるのは、とにかく面白い作品を生み出すことを目指しつつ、後は運に身をまかせるということです。

これに関しても、インタビューで多くの先輩方が言及しています。

できるだけのことをやったら、あとは〝運〟なので。それから縁とタイミング。果報は、のんびり寝て待つのがオススメです。

角埜杞真先生『トーキョー下町ゴールドクラッシュ!』

宝くじは買わなきゃ当たらないのと同じで、応募しないことには100%受賞は不可能なので、デビューしたいという思いがあるうちは、落選にめげずにバンバン投稿を続けるのが一番かなと思います。受賞するには運の要素も大きいのですが、運を引き寄せるにはまず行動するしかないので……!

星奏なつめ先生『チョコレート・コンフュージョン』

書き続けましょう。

新 八角先生『血翼王亡命譚 I ―祈刀のアルナ―』

新先生に至っては、アドバイスが「書き続けましょう。」の一言のみです。
他のインタビューには丁寧に答えていますので、アドバイスに関してはこの一言にすべてを込めたといった感じです。

書き続ければ上手くなっていくものです。
プロになるには”下手な鉄砲をいくら撃っても当たらない”のはもちろん、”巧い鉄砲をひたすら撃ち続ける”メンタルでいなければならないのかもしれません。

独自のアドバイス

多くの方が「好きなことを書く」ことと「書き続ける」ことをアドバイスする中、独自のアドバイスを下さっている先生もみえますので、紹介していこうと思います。

速く書けるようになろう

まず短期間でなるべくたくさん書けるようになってください。

渡瀬草一郎先生『陰陽ノ京』

渡瀬先生はこのことに関して詳しく説明して下さっていますが、要約すると次のようになります。

  • ”自分のできる範囲で”が前提。
  • 速く書ければ仕事以外の時間も作れるし、兼業でも本を出しやすい。
  • 方法論を含めて、自分なりのやり方を早くから模索しておいた方が良い。

これは渡瀬先生自身の経験からのアドバイスなんだそうです。
(インタビュー当時、若い頃ほど徹夜が利かなくなり、書くペースが落ちていたそうです。)

私は、速く書くことに関してはデビューしてから考えれば良いと思っていましたから、このアドバイスは意外でした。
電撃大賞は年に1度ですから、じっくり書けば良いかという考えでしたが、プロを目指す身としては甘かったかも知れません。

インタビューによると、渡瀬先生ほどの方でも、改めて速く書くことを模索しているとのこと。
私は渡瀬先生の作品が好きで何作か読んでいるのですが(『空ノ鐘の響く惑星で』が特にお気に入りです)、雲の上の人が未だに試行錯誤していると聞くと焦りが芽生えます。

もちろん作品の質が第一ですが、今後は速く書くことに関しても考えていこうと思いました。

おわりに

「独自のアドバイス」に関してはまだまだありましたので、随時更新していこうと思います。
みなさまも一度、インタビューをご覧になってみてはいかがでしょうか?
とても勉強になりますよ。

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