日本人ならではクリエイティビティを身につけよう!
そんな煽りに目を引かれて購入したのが今回の参考書『「型破り」の発想力』です。
参考書:齋藤孝2017『「型破り」の発想力 武蔵・芭蕉・利休・世阿弥・北斎に学ぶ』祥伝社
タイトルから分かるように、本書は「発想力」をテーマに5人の日本人から学ぶ本です。
本の帯には「日本人ならではクリエイティビティを身につけよう!」という文句と共に、5人の日本人が紹介されております。
- 松尾芭蕉 ”ノマドワーカー”
- 世阿弥 ”顧客マーケティング”
- 千利休 ”イノベーションの達人”
- 宮本武蔵 ”勝利のバイブル”
- 葛飾北斎 ”クールジャパン”
言わずと知れた偉人ばかりです。
小説家志望のワナビたる私には発想力と創造力は必須スキルです。
「日本人ならでは」という部分と「著者が5人の日本人に冠した称号」にも大いに興味を引かれ、立ち読みもそこそこに購入した次第です。
私は本書を読む前、学ぶのを楽しみにする一方で懐疑的な思いもありました。
「日本人ならでは」といっても偉人たちの話でしょ?
それを日本人全般に当てはめることが果たしてできるの?
という疑念です。
私は小説家になるべく尽力していますが、自分がクリエイティブな存在と思ったことはありません。(そう思い込むようにしてはいますが……)
だからこそ、発想の基となる知識を身につけるべく色々な本を読んでいます。本書もその一環となれば良いなぁくらいのつもりでした。
しかし、序章を読んだ時点で、日本人の発想力も捨てたもんじゃないなと、私ももう少し自己評価を上げてみようかなと思わされました。
というわけで、本記事では
- 日本人がいかにクリエイティブな存在か
- 日本人のクリエイティブ性とは何か?
を学んでいこうと思います。(5人の日本人については次回以降の記事でご紹介します)
”クリエイティブ”な日本人?
「日本人は実はクリエイティブなんだよ!」といくら口にしたところで、根拠がなければ信じられませんよね。
本書では冒頭でその根拠を述べています。
二〇一六年にアメリカのアドビシステムズ(Addbe Systems)が行った「クリエイティビティ(創造性)」に関する調査では、世界で最もクリエイティブな国は日本だという結果が出ているのです(Addbe Systems「State of Create: 2016」)。
(12ページより)
おぉ、一番というのは意外ですね。
具体的な調査法については書かれていませんが、そういう調査があったのであれば信用度は格段に増します。
国外(アメリカ)の調査というのも良いですね。どうやら日本人の自意識過剰によるデータではないようです。
ところが、です。
先ほど私が抱いた意外という感想。
これが日本人の全体の傾向であるようです。
ところが、二位以下の他の国では「あなたはクリエイティブですか?」と聞かれると、多くの人がイエスと答えるのに対し、日本人ではなんと四分の三の人が、自分はクリエイティビティを充分に発揮できていないと答えているのです。
日本人は「自分たちは創造的ではない」という誤った思い込みをしているということです。(12ページより)
これは日本人の国民性である「謙虚さ」が反映されているのでしょうか?
それも多少あるかもしれませんが、実際のところ自分は創造的でないと思っている方は多いはずです。
事実私はそう思っています。
みなさんはいかがでしょうか?
つぎは日本人がクリエイティブだっとして、それは具体的にどういったものなのかを見ていきましょう。
日本の誇るクリエイティブなもの
本書で挙げられている、日本にあるクリエイティビティなものをいくつか紹介します。
新幹線の車内清掃
日本の新幹線で行われる手際の良い清掃。
海外では「奇跡の七分」と呼ばれるほど評価されているそうです。
見慣れてしまっていましたが、改めて考えると惚れ惚れする手際ですよね。
「いや、確かにすごいけど、これのどこがクリエイティブ?」と思われた方もいると思います。
実は新幹線の車内清掃は、そのマニュアルがクリエイティブなのです。
あの職人技にも思える清掃は限られた人にしかできないでしょうか?
違いますよね。もちろん訓練は必要でしょうが、マニュアル通りに行えば多くの人に可能なはずです。
そしてそのマニュアルは様々なことを考慮して作成されています。(作業の順番、道具、乗客へのお願いなど)
こうした小さな工夫を積み重ねていくことで、目的のものを汲み上げられるのは日本人のクリエイティブ性のひとつです。
コンビニ
日本のコンビニは世界に誇れるほど様々な商品とサービスに満ちています。
数年前のコンビニと比べると、現在のコンビニはより便利になっていますよね?
新たな商品は次々と生み出され、健康路線や高級路線といったそれぞれの特色を出し、銀行や宅配の役割まで担っています。
こうしている今も新たな商品やサービスが日々発想・創造されているはずです。
漫画やアニメ
これに関しては説明不要でしょう。
いまや日本の漫画やアニメは世界中で愛されています。
日本人のクリエイティブ性
私は”クリエイティブ”と聞くと芸術品や科学的な新発明といったものを思い浮かべていましたが、そればかりではないようです。
上記したようなサービスや商品も立派なクリエイティブです。
これらをコンスタントに生み出す日本人のクリエイティブ性とはどういったものなのでしょう?
本書ではそれは「ひと工夫」し、「アレンジ」する力だと述べています。
そうです。我々日本人は既存のものから新たなものを生み出す力を持っているのです。
本書から引用します。
日本人は長らく、自分たちが作るものは、しょせんは進んだ欧米文化の真似やアレンジに過ぎない、つまり、自分たちがしているのは「創造」でも「発想」でもなく、精度を高めただけだと、低い自己評価しかしてきませんでした。
でも、世界はそうは思っていませんでした。
そのアレンジの仕方こそが画期的なもので、とてもクリエイティブだと評価されているのです。(15ページより)
その具体例が本書で挙げられております。
- 他に類を見ないトイレの進化
- カレーやラーメンといった食文化
- 漫画やアニメのキャラクター
国内にいてはなかなか気づけないものですが、日本は「ひと工夫」と「アレンジ」を駆使してアイデアを生み出し続けるクリエイティブな国として世界から認知されているようです。
まずは「ひと工夫」と「アレンジ」からはじめよう!
「ひと工夫」と「アレンジ」。日本人がこれらを得意とするのは、やはり国民性によるところが大きいのではないでしょうか?
すなわち「気遣いの心」です。
細かなところまで届く目と、相手を慮る心。
こういった気質が既存のものをもう一段昇華するという創造に繋がっているのだと思います。
ですから、我々日本人に適したアイデアを発想する方法とは、次のようなものになります。
- 今あるものに目を向ける
- それをつぶさに観察し、配慮の心でとらえる
- 「もっとこうしたらいいんじゃないか?」という部分に「ひと工夫」あるいは「アレンジ」を加える
- それを繰り返す
0から1を生み出すばかりがクリエイティブではありません。
まずはまわりに目を向け、そこからアイデアを発想することからはじめてはいかがでしょうか?
おわりに
今回は我々日本人がいかにクリエイティブかということと、そのクリエイティブ性とはどんなものなのかを学んできました。
既存のものに手を加える。この考えは以前お話した問題は知識から生まれることと似ていますね。
やはり我々の武器は謙虚さや配慮から生まれる視点や感受性なのですね。
私も創作活動の際にはもっとこういったことを意識していこうと思います。
『「型破り」の発想力』については次回以降も記事にさせて頂く予定です。
その際にはまたお付き合い下さるとうれしいです。
それではここまで読んで頂きありがとうございました!