脳へのストレスは運動で減らす! そもそもストレスとは何か?

今回は先日も紹介した『BRAIN  一流の頭脳』にて勉強していこうと思います。

本日の参考文献:アンダース・ハンセン,御舩由美子[訳](2018)『BRAIN  一流の頭脳』サンマーク出版

ストレス社会と言われて久しい現代で、日頃からストレスを感じられている方も多いことと思います。

しかし、過度なストレスが身体に良くないということはわかっていても、そのメカニズムや対策法は知らないという方もいらっしゃるのではないのでしょうか?

そこで今回は、ストレス発生のメカニズムストレスから脳を守る方法をご紹介します。

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重要語句

今回はみなさまが耳慣れないであろう語句が出てくるため、まずは簡単に説明しておこうと思います。

  • 闘争逃走反応 動物が恐怖を感じたとき起こるストレス反応。戦うか逃げるかの判断を瞬時に下すための体勢に入ります。具体的な症状としては、心拍の上昇、呼吸が浅くなる、手足が震えるといったものが挙げられます。
  • コルチゾール ストレスホルモンの一種。血中濃度が上がると、脳と身体が闘争逃走反応に移行します。
  • HPA軸 視床下部(Hypothalamus)、下垂体(Pituitary)、副腎(Adrenal gland)を通してコルチゾールが生成されるシステムのことです。
  • 扁桃体 脳の側頭葉にある部位。危険に直面したときに脳内で警告を発します。これがHPA軸の動力源となります。
  • 海馬 脳の大脳辺緑系の一部で、ストレス反応を緩和する働きをします。記憶に大きく関わるといわれており、空間認識にも関わっています。
  • 前頭葉 脳の一部で、海馬と同様にストレス反応を抑制する働きをします。感情が暴走しないよう、理性を失った行動をしないようにします。

ストレス発生のメカニズム

ストレスは、重要語句で挙げたHPA軸によってコルチゾールというストレスホルモンが生成されることによって発生します。

HPA軸によるストレス発生の過程を簡単に説明すると、

恐怖などの刺激を受けた扁桃体が警告を発する

体視床下部(H)がホルモンを放出する

下垂体(P)が別のホルモンを分泌、血流によって運ばれる

それを受け取った副腎(A)がコルチゾールを放出する

コルチゾールによって身体にストレス反応(闘争逃走反応)が起きる

となります。ちなみにこの間わずか1秒だそうです。

ストレスが脳に与える影響

ではストレスは脳にどんな影響をあたえるのでしょうか?

結論から申し上げると、慢性的なストレスは海馬や前頭葉を萎縮させてしまいます。

重要語句で挙げたとおり、海馬は記憶力、前頭葉は理性に大きく関わっております。つまりストレスによって記憶力や思考力(冷静さ)が低下すると考えられるのです。

何しろ海馬は記憶の中枢であるため、〈略〉、ストレス反応がいつまでも収まらないと、短期間の記憶が損なわれることが少なくない。
重いストレスを抱えた状態が長く続くと、言葉がうまく出てこなかったり、場所の認識ができなくなったりする。海馬は空間認識にも関わっているため、自分の居場所や方向がわからなくなってしまう可能性も高くなるのだ。(59ページより)

 

扁桃体がやたらと警告を発し、前頭葉がそれを打ち消すことができなければ、ほんの些細なことにも大袈裟に反応するようになる。(65ページより)

ストレスがストレスを呼ぶ?

ストレスによって海馬や前頭葉が萎縮すると、脳の能力低下に加えてさらにやっかいな現象が起きます。

海馬や前頭葉はストレス反応を緩和する働きも持っています。もうご理解頂けたと思います。

ストレスはストレスを呼んでしまうのです。

ストレス発生→海馬や前頭葉が萎縮→ストレスの歯止めがきかなくなる→更なるストレス

という負のスパイラルが発生してしまうのです。なんらかの対策を講じなければ、私たちの脳はストレスに蝕まれていくばかりです。

ストレスから脳を守る方法はやっぱり運動!

やはり運動は大事なようです。

本書では運動によってストレスが緩和される原理をいくつか挙げておりますが、その中からひとつご紹介させて頂きます。

運動すると心拍数や血圧が上昇することは説明不要でしょう。

心拍数や血圧の上昇。これはストレスを感じたときと同様の反応です。つまり運動も一種のストレスと言えます。ただ、運動している間はコルチゾールの反応を適切に利用できている(運動にはエネルギーや酸素の供給が必要なため、心拍数や血圧の上昇は正しい)という点で他のストレスとは異なります。

運動を習慣づけると、運動中のコルチゾールの分泌量は増えにくくなり、逆に運動後に下がる量は増えていくそうです。

これだけなら適度な運動のストレスは身体に悪いものではないというだけのお話しになるのですが、有り難いことに運動の効果は運動以外のストレスに影響するようです。

定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。(61ページより)

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つまり運動を続けることで身体が慣れ、普段感じるストレスにも強くなるということになります。これは私たちは運動によってストレスに強い体質に変わる事ができるということです。

では最適な運動量は?

まずはフィンランドで行われた調査から。

フィンランドでは、3000人を超える被験者の協力を得て、生活習慣を調べる研究調査が行われている。「なぜ心臓発作を起こす人がいるのか、またストレスがそれにどう関わっているのか」を探る研究である。
その結果、週に2回以上運動をしている人は、ストレスや不安とほぼ無縁であることがわかった。これはチリの調査で得られた結果と同じである。(75ページより)

週に2回以上の運動。これがひとつの目安になりそうです。

それを踏まえた上で、本書で推奨されている1回あたりの運動量は以下のようになっております。

  • まずはランニングやスイミングなどの有酸素運動を20分程度行うのが良い。体力に余裕があれば、30〜45分行う。
  • 週に少なくとも2、3回は心拍数が大幅に増えるような運動をする。(ただし、極度の不安障害やパニック発作の症状がある方は注意して下さい。心拍数の上昇を脳が発作の前触れと勘違いする可能性があるそうです)
  • もし何らかの理由で心拍数を増やせないのであれば散歩だけでも良い。

おわりに

というわけで、ストレス発生のメカニズムと、ストレスの対策には運動をという話をしてきました。

運動量について、私自身は概ねクリアできているかなといった感想です。ちなみに私が行っている運動は、ステッパーを用いた20分以上のウォーキングを毎日と、週3、4回のHIIT、週1回の筋トレです。(HIITは”High Intensity Interval Training”の略で、短時間で高強度の運動を行うトレーニングです。機会があれば当ブログでも紹介したいと思います)→追記:私の運動習慣について記事にしましたので、よろしければご覧下さい!

もう少しきつめのランニングを取り入れようかとも思うのですが、活性酸素などの問題も出てくるので当分はこのメニューを続けてみようと思っております。(呼吸によって必要以上に体内に取り込まれた活性酸素は身体を酸化させる、つまり老化させる原因になります)

みなさまにも適度な運動を習慣にして頂けたらと思う次第です。

今回も読んでい頂きありがとうございました。それではまた。

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