『三度目の少女』感想(宮ヶ瀬水/宝島社文庫)

『このミス』大賞2018 隠し球

「私には前前世の記憶があるの」
   転生×幽霊×謎解き

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帯紙の煽りと、意味深な雰囲気の表紙絵に誘われて購入した本作。

作者の宮ヶ瀬先生は本作がデビュー作とのこと。
……これがデビュー作とか、レベル高いですね。

この物語において、以下の条件を真とする。
「この世には、超常現象が存在する」

(7ページより)

そう前置きされた上で物語は始まります。
この前提条件を覚えておくことは重要ですので、推理しながら読まれる方はぜひ意識しながら楽しんでくみてください。

私も推理しながら読んでみましたが、3割当たって、残り7割は分からなかったのでそのまま読み進めたという感じです。

私個人の感想としては可もなく不可もなくといったところ。

しかしネット上のレビューを見てみると、高評価のものが多いですし、それに関しては私も異論ありません。
発想の着眼点が凄いし、超常現象を前提とした上でロジックを成り立たせている。宮ヶ瀬先生の見識の深さも存分にうかがえました。

超常現象を下地とした一風変わった本格ミステリー。
興味のある方はぜひ読んでいただきたいです!

『三度目の少女』あらすじ

物語の肝は何といっても”転生”という超常現象です。
舞台となるのは私たちの生きる現実世界ですが、そこに”幽霊”や”転生”という要素を加えています。

「三度目の少女」のタイトル通り、主人公となる少女・伊藤杏寿(あず)は三度目の人生を生きており、中学1年生でありながら少し大人びた雰囲気です。前世と前前世の記憶を有していますからね。

物語のはじまりはそんな案寿のモノローグ。

”転生” というと近年ライトノベルで流行っている”転生モノ” を連想する方もいるかもしれませんが、本作はそれと一線を画します。
ライトノベルの転生モノは、現状に不満や焦りを感じる主人公が亡くなり、前世の経験や知識を持ったまま別の人生をやり直すことが肝です。その痛快さが売りとなるわけですね。

ところが杏寿は転生したことによる苦悩を抱え続けており、さらには転生を2度経験しているので「このままずっと転生し続けるのでは……」という不安に苛まれています。
冒頭ではこの苦しみを語り、その末に”生まれ変わり”を止めることを決意します。

一方、もう一人の主人公となるのは大学生の関口藍(らん)。女性的な名前ですが男性です。
藍は昔とある出来事に遭遇し、そのときのトラウマを今も抱えています。
そしてそのトラウマにより、他人の意見を否定できない性格になってしまったんだそう。

杏寿と藍。二人が出会うことで物語は動き出します。

通う大学の教授・森田に呼び出された藍は、そこで杏寿を紹介されるのですが……。
聞けば杏寿は2度も転生を繰り返しているとのこと。常人なら真偽を疑うような話も、他人を否定できない藍はすんなりと聞き入れます。

森田教授は藍に、杏寿に協力するよう依頼。
どうやら教授は、杏寿の”生まれ変わりを止めたい” という願いに協力することが、藍の”トラウマ” を克服することに繋がると考えているようです。
最初は抵抗した藍ですが、結局は説き伏せられて協力することに。

そして三人が向かった先は、杏寿の前前世の少女・木綿子の生家です。
実は木綿子は12歳のときに何者かに殺されており、犯人は杏寿にもわからないのだそう。
そこに何か手がかりがないかと考えたようです。

ところがそこで、杏寿と蘭は様々な出来事に遭遇します。
謎のポルターガイスト現象、そして毒殺される生家の当主。この当主ですが、木綿子の父親であり、木綿子を殺害した犯人かもしれない人物でした。
その奇怪な殺害現場の様子から、犯人は木綿子の霊だと皆から恐れられるのですが、もちろん木綿子はすでに杏寿に生まれ変わっています

果たしてどうなっているのでしょうか? そして当主を殺害した犯人とは?

 

というわけで、序盤の重要情報を並べてみたのですが、興味をそそられる要素で溢れてますねぇ。
これだけの要素を上手くまとめ上げてしまうのですから、宮ヶ瀬先生、羨ましい限りの手腕です。

では続いて、ネット上でのレビューをもとに、どんな人におすすめの小説なのかを見ていこうと思います!

ネット上でのレビューまとめ

良い評価

  • 終盤に繰り出されるロジックが素晴らしい。
  • 「超常現象」の存在を上手く謎解きと絡めている。謎解きのパートは爽快。
  • ヒロイン(杏寿)がいい。可愛い。個性的。
  • 古典的な本格ミステリ。洋館、名家などの要素や、謎解きの過程がレトロな雰囲気。

イマイチという評価

  • 今はやりの転生モノを期待して買ってはいけない。
  • 「超常現象」の存在をどこまで信じて読めるかで評価が分かれる。
  • 謎解きのインパクトに欠ける。カタルシスに欠ける。

個人的感想

最初に私の感想は”可もなく不可もなく”と述べましたが、ネット上の感想を見ている限り、イマイチとした人の感想は似通っているものが多いですね。

インパクトとカタルシスに欠ける。これが全てかなと私も感じました。(カタルシスに関してはけっこう満たしていると個人的には思いますが)

ミステリに超常現象なんて要素を取り入れながら、すごく丁寧に書き上げ、本格的なミステリとして成立させているので、余計に「もう一歩!」と感じる方が多いのではないでしょうか。

この”超常現象”にどれだけ入れ込んで読めるかがカギっぽいですね。
私は超常現象の発生自体に疑問は感じないものの、「ふーん、そんなもんなのかな」といった感じで、深く共感できなかったことが手放しで楽しめなかった原因でした。

逆に面白かったとしている方々は、完成度の高いロジックや、ひと味加えながらも本格ミステリとして確立させている点を評価しているようです。
このあたり、私はどちらかといえば深く推理しないで、物語の奥深さや謎解きの意外性を求める傾向にあるので、余計に肌に合わなかったようです。

とはいえ、あれだけの謎解きを読みやすく、かつ心情的な部分も考慮して書いていらっしゃるのは驚嘆ですし、とても勉強になりました。なにより、こういうミステリがあってもいいんだ、と改めて感じることができました。

『三度目の少女』。合う合わないはあるようですが、面白いと感じた方が多数派。
興味のある方はぜひぜひご一読ください!

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